「とくしま好きッぷ」と「スマえきトク割きっぷ」と「四万十・宇和海フリーきっぷ」と「九四フェリー」で行く
２０２５年秋 四国〜九州・高千穂の旅
（２０２５．１１．２０〜１２．３）

マニアにしかわからないようなタイトルになってしまったので、最初に今回使った切符と乗り物について整理しておきます。

「青春１８きっぷ」が使えない時期に、これらの切符と乗り物を駆使して、四国経由で九州まで往復してみようという旅です。
（久しぶりに特急に乗れて、妙にうれしいものがあった）


高千穂峡

「とくしま好きっぷ」は、南海なんば駅の券売機で購入
「四万十・宇和海フリーきっぷ」は、高知駅の券売機で購入
「宮崎交通１日乗り放題乗車券」は、延岡駅の宮崎交通バスセンターで購入

合計４５１３０円／１４日間

１１月２０日（木）

なんば	和歌山市	和歌山港	徳島港	徳島駅
12:20発	13:19着 13:24発	13:28着 13:40発	15:55着 16:17発	16:43着

南海なんば駅の券売機で「とくしま好きっぷ」を購入。パッと見は普通の切符と変わらなくて、
（２５００円も払ったのに、この切符？）
って、ちょっと思いましたが、切符は見た目より内容が大事です。

和歌山

なんばから和歌山市駅までは「特急サザン」で移動。
南海の特急は、有料と無料があってややこしいですが、「特急サザン」の自由席は乗車券のみで乗れます。
南海和歌山港線は、和歌山市駅と和歌山港駅の二駅だけを行ったり来たりする路線で、全国的にも珍しいです。

　

列車が到着すると、それを待っていたかのように、フェリーが出航。
けっこう急かされるように、早歩きで乗船しないといけないので、
（もう５分くらい遅らせてくれても、全然いいよ）
って思いましたが・・。
船内には椅子席とじゅうたん席があり、じゅうたん席で寝っ転がってる人が多かったです。
甲板に出て、遠ざかっていく陸地や、青い海をボーっと眺めているうちに、２時間１５分で徳島港に到着です。

　　

徳島

徳島港からバスに乗り、徳島駅に到着。甲板で体が冷えていたので、
（徳島ラーメンを食べるには、逆にベストコンディションだな・・）
と思い、徳島でお気に入りの「銀座一福」に寄っていきました。駅から宿に向かう途中にあるので、寄りやすいです。
「銀座」というのは東京の銀座のことではなく、この辺り一帯が「銀座」という地名で、その銀座商店街にあるラーメン屋です。
初めて来た時も、懐かしい感じがしましたが、この店内の「昔ながら感」は、とても貴重に思えます。
久しぶりの徳島ラーメンのスープと、中華っぽくない日本の焼き飯で、身も心も温まる気分でした。

　　

徳島の宿は、いつもの『ホテルネクセル』。大浴場の泡風呂が気持ちいいです。
タイミング良く「ブラックフライデー割引」というのがあって、４０００円のシングルに３４００円で泊まれました。


１１月２１日（金）

徳島	阿波池田	高知	中村
9:00発	10:15着 10:24発	11:30着 13:49発	15:35着

徳島から高知まで、久しぶりの特急にテンションが上がります。
ＪＲ四国のアプリ「しこくスマートえきちゃん」で、「スマえきトク割きっぷ」を購入。徳島から高知まで３５００円です。
今回初めて使いましたが、クレジットカードとか登録しなくても、PayPayで購入できて便利です。
「使用開始」のボタンを押して、改札でスマホ画面を見せて通ります。
徳島から阿波池田まで、「特急剣山」で移動し、岡山から来る「特急南風」に乗り継ぎです。
（特急から特急に乗り継ぎとか、もういつ以来か思い出せない・・）

　

高知

高知駅が近付くにつれて、頭の中が「鰹のたたき」でいっぱいになってきて、
グーグルマップも、「レストラン」ではなく「鰹のたたき」で検索して、「とさ市場」という店に行ってみました。
「藁（わら）焼きタタキ定食」と「海援隊十年古酒（米焼酎）」を注文。
味以前に、「高知で鰹のたたきを食べている」という状況がすでにうれしくて、
もっと言うと、店を目指して高知の町を歩いてる時点で、すでにニコニコしてましたが、
坂本龍馬に因んだ「海援隊十年古酒」も、日本酒にはないコクがあって、高知らしい、いい昼食でした。
昼休みの時間帯なので、会社員やＯＬも多かったです。
（仕事の合間にこんなのが食べられるとはうらやましい・・）

　　

高知駅の券売機で「四万十・宇和海フリーきっぷ」を購入し、「特急あしずり」で中村へ向かいました。
３本続けて特急は、自分としては珍しいパターンで（初めてかも）、なんか時間が余り過ぎて戸惑ってしまいます。
（朝９時に徳島を出発して、高知に立ち寄り、中村まで移動して、まだ昼なんですけど・・）

　　

中村

中村はもともと「中村市」でしたが、２００５年に隣接する西土佐村と合併して、「四万十市」になりました。
町の歴史は古く、応仁の乱の時代に、前関白の一条教房が移り住み、町造りを始めたことで、城下町として発展してきました。

中村の宿は、以前泊まったことがある『ホテルココモ（４６８０円）』。
かなり居心地が良かった印象ですが、６階の展望大浴場からは線路や川が見渡せ、
時々ゴトゴトと音を立てて走る列車を眺めつつ入る風呂が気持ちいいです。
温泉ではないけど、鉄分を多く含む四万十の地下水を汲み上げていて、体の芯から温まるということです。
ウェルカムドリンクに加えて、夜のカップ麺やアイス、うまい棒などのスナックも無料で、
朝はパンとドリンクバーのサービスと、至れり尽くせりです。
（なんか、とことんもてなす気概のようなものを感じる、いい宿です）

　　

すぐ向かいには、以前行った「いちもん家」という郷土料理店があり、風呂上がりにさっそく行ってみました。
「うなぎのとろろ丼」と「鰹のたたきサラダ」、四万十の地酒「藤娘（ふじむすめ）」を注文。
サラダの具として鰹のたたきを使うというのも、高知ならではですが、
四万十川のうなぎももちろんうまいし、なんか高知は、幸せな気持ちになる食べ物が多いです。

　　


１１月２２日（土）

中村	足摺岬	清水プラザパル前	中村	南宿毛
8:17発	10:05着 11:03発	11:45着 14:02発	14:57着 15:38発	16:05着

天気がいいので、足摺岬へ行ってみることにしました。
駅前から高知西南交通のバスが出ていますが、
ＩＣカードは使えず、１万円札の両替もできないので、千円札を用意しておく必要があります。

でも後から聞いた話によると、３千円で３００円×１１回分の回数券があって、それを使えば３００円得したようです。
（１日しかいない町で回数券を買うという発想は出てこなかった）

足摺岬

窓からきれいな海を眺めながら、２時間ほどで足摺岬に到着。
幕末から明治にかけて活躍した中浜万次郎の出身地ということで、銅像が建てられています。
家族で見に来たお母さんが、
「一応撮っとくわ、万次郎」
と言って写真を撮ってましたが、
（一応って、本人が聞いたら、けっこう失礼だな・・）
と思いつつも、自分も全く同じ気持ちで撮っていたので、まあ気持ちは分かります。
（高知は幕末の有名人が多いけど、坂本龍馬以外はどうしても「一応」になってしまう）

　

展望台からの眺めは絶景で、海の青さが違います。
晴れの日限定で訪れたい場所ですが、青空でラッキーでした。
潮風に吹かれながらボーっと海を眺めていると、１時間くらいはあっという間に過ぎそうです。

　　

山道を少し行くと、「天狗の鼻」と呼ばれる見晴らしのいい場所があり、さっきまでいた展望台も見えます。
１時間では物足りない気分でしたが、１１時のバスを逃すと、次は１４時なので、ちょっと迷いながらもバスに乗り込みました。

　　

土佐清水

帰りは土佐清水で途中下車し、昼食をとることにしました。
土佐清水と言えば「清水さば」が有名なので、「あしずり」という店で「さばの刺身定食」を注文しました。
さばは普通、生では食べられないですが、鮮度が良くて適切に処理された場合のみ、刺身で食べることができます。
「さばの塩たたき」もうまそうでしたが、刺身で食べられる機会はなかなかないので、刺身定食にしました。

町の中心にある「プラザバル」というスーパーが、バスの発着所になっていて、
せっかくなので、何か買っていこうかと中に入ると、焼き芋があったので、一つ買ってみました。
熊本産の紅はるかで、甘くていい感じに焼けてました。

　　

宿毛（すくも）

バスで中村駅に戻り、土佐くろしお鉄道で宿毛へ向かいました。
終点の宿毛駅は町外れにあって、周囲にホテルや飲食店はあるものの、
昔ながらの住宅街は、一つ手前の東宿毛駅周辺に広がっています。
そんな下町にある『米屋旅館』に泊まってみました。２食付き７０００円です。
駅から宿へ向かう途中の町並みは、昔どこかで見たような、懐かしさが漂っています。

　　

玄関から入ると、中の様子が普通の家過ぎて、一瞬建物を間違えたかと思いましたが、
宿というより、知り合いの家に泊まりに来たような気分です。
風呂に入った後、周辺の散歩も兼ねて、ちょっと遠くのスーパーまで買い物に出かけ、
帰ってくると、ちょうど夕食の準備ができたようで、食堂に行ってみました。
港町らしく３品とも海鮮で、いかにも『日本のお母さんがつくる晩御飯』という感じで、
（結局まわりまわって、こういう晩御飯が一番かも・・）
と思いながら食べてましたが、テレビを見ながら、煮魚をおかずに沢庵をご飯にのせたりしていると、
（あ〜、日本の晩御飯だ、これは）
と思えてきます。

　　


１１月２３日（日）

宿毛	中村	窪川	宇和島	卯之町
10:39発	11:10着 11:13発	11:53着 13:15発	16:08着 16:46発	17:06着

最寄りの駅は南宿毛駅ですが、町見物も兼ねて、終点の宿毛駅まで３０ほど歩いて行きました。
土佐くろしお鉄道で窪川（くぼかわ）へ移動です。日曜日に出かける若者が多いのか、意外と混んでました。

　

窪川

駅近くの「うなきち」という店へ、四万十川のうなぎを食べに行きました。
二人用の座敷は見るからに年季が入っていて、江戸時代にタイムスリップしたような気分です。
メニューはうなぎのみで、うなぎ専門店ということで期待しながら、「うな重（並）」を注文。
並でも３５００円と、ちょっと思い切りが必要な値段ですが、四万十うなぎにはそれだけの価値があります。
（同じ値段なら函館の海鮮丼とか、余計なことは考えてはいけません）

　　

宇和島までは、トロッコ車両が連結された「しまんトロッコ」で移動です。
座席指定券を購入すれば、途中１時間ほど、景色がいい区間をトロッコ車両に乗ることができます。
今は寒いので、もう少し暖かい時期に乗ってみたいですが、それでもけっこう満席でした。



卯之町（うのまち）

宇和島から八幡浜へ向かう途中にある卯之町で一泊することにしました。
たまたま手頃な宿が見つかったので、立ち寄ってみましたが、
宇和島藩の宿場町として栄えた歴史ある町のようで、江戸時代の古い街並みが残っています。
駅の待合室は、無人駅にしてはしっかりした作りで、中には本が並んでいます。
卯之町の宿は『第一ビジネスホテル松屋（５４５０円）』。駅から近くて、部屋もきれいです。
夕食は駅前の「笑福」というラーメン屋に行ってみましたが、
見知らぬ町の、見知らぬ店で、ラーメンが運ばれてきた時の心温まる感覚は、
国内旅行の醍醐味と言っていいでしょう。（寒い時期は特に・・）

　　


１１月２４日（月）

卯之町の歴史ある町並みを少し見てから、駅へ向かいました。

　

卯之町	八幡浜	三崎港	佐賀関港	幸崎	佐伯	延岡
11:07発	11:18着 12:15発	13:28着 14:30発	15:40着 16:35発	16:49着 17:49発	18:49着 19:19発	20:17着

八幡浜（やわたはま）

卯之町から八幡浜までは、「特急宇和海」で一駅です。
「四万十・宇和海フリーきっぷ」で松山まで乗ることができますが、今回は行かないので、八幡浜で利用終了です。
八幡浜駅前からバスに乗り、佐田岬半島の三崎港へ向かいました。
佐田岬半島を地図で見ると、まるで九州に向かって手を伸ばしているように見えますが、
これだけ細長い半島に一体何があるのか、気になるところです。
途中、いくつか町があり、市場や学校の前で人の乗り降りはあったものの、
窓から見える景色はほとんどが山の中で、時々小さな港町が見えたりします。



三崎港

１時間１５分ほどで三崎港に到着。国道九四フェリーのターミナルで、大分の佐賀関（さがのせき）港までの乗船券を購入です。



三崎港の「はなはな」という施設には、レストランや土産物屋があり、地元でとれた野菜などが売られています。
その中の「しらす食堂」で昼食をとることにしました。宇和海でとれた「しらす」を食べることができます。
店長おすすめの「はなはな丼」は、「生しらす」と「釜あげしらす」がのった海鮮丼で、
テラス席でこれから渡る豊後水道（四国と九州の間の海）を眺めながら食べる海鮮丼、贅沢な時間です。

　　

フェリーには車とバイクが先に乗り込み、その後、同じ入口から人が乗船します。
船は右手に佐田岬半島を見ながらゆっくりと進み、先端にある灯台を過ぎる頃には、対岸の九州が見えてきます。
乗船時間は１時間１０分、けっこうあっという間に佐賀関港に到着です。

　　

佐賀関港〜幸崎

港前からバスに乗り、最寄りの幸崎駅へ向かいました。
他の乗客はここから大分方面へ向かうようで、ここから宮崎方面へ向かうという変な人（？）は自分だけで、
駅のホームで一人列車を待っていると、
「２列になってお並びください」
という駅のアナウンスが流れ、「どうやって？」とつぶやいてしまいましたが、
こういう誰もいない地方の駅で、一人列車に乗り込むのも、なぜか妙にうれしくなる、一人旅の醍醐味です。

　

ＪＲ九州では、ＩＣカードを使えるエリアが４つに分かれていて、
各エリアをまたぐような使い方はできないので、注意が必要です。
たとえば大分駅と宮崎駅は、どちらもＩＣカードで入場できるけど、エリアが異なるため、
大分駅から宮崎駅までＩＣカードで乗車するといった乗り方はできないです。
他にも使えない区間が多くてややこしいので、確認するというよりは、乗車券を買うのが無難です。

佐伯〜延岡間は、普通列車が早朝の１本しかないので、「特急にちりん」で移動です。
検札に来た車掌さんの接客が丁寧で、テーブルに乗車券を置いていたら、
「あ、こちらですね〜」と、パパっと検札を済ませてくれましたが、「やっぱり特急は違うな・・」と思わせます。
（特急券を見せること自体が久しぶりなので、検札に来てもらえた方がうれしい）

　　

延岡

延岡の宿は『延岡第一ホテル（４５００円）』。６階の展望大浴場から延岡の夜景が見えます。
夜景というのは、キラキラと賑やかなのがいいというわけでもなく、
「昔はもう少し賑わっていたのかな」と思わせるような、
少し哀愁が漂う、しっとりとした夜景もまた、味わい深いものがあります。
そんな夜景を眺めつつ、「今日も長い一日だったな・・」と思いながら、長めに湯船につかってました。

宿の近くには、２４時間営業のジョイフルがあり、
時間を気にせず先に風呂に入ったりできて、旅行者にはありがたい存在です。

　　


１１月２５日（火）

延岡	高千穂	延岡
10:00発	11:20着 14:15発	15:44着

バスで高千穂まで行ってみることにしました。バス代は片道１８８０円ですが、
宮崎交通には「１日乗り放題乗車券」というのがあって、これを使えば高千穂まで２千円で往復できます。
延岡駅の「宮崎交通延岡バスセンター」で購入しましたが、
使う日付にマジックでまるをするという、かなりアナログな、懐かしい感じがするチケットです。

　

１時間２０分で、高千穂バスセンターに到着。
高千穂に来るのは実は２回目で、あまり覚えてないので、もう一度来てみましたが、
以前は「高千穂鉄道」という山岳鉄道が走っていて、それに乗って来たのを覚えています。
２００５年に台風の被害を受け、復旧の目途が立たず、廃線になったということです。

高千穂のバスセンターで観光マップをもらい、高千穂神社へ行ってみました。
ピリピリとくるような、神聖な空気が漂っています。せっかく来たので「水晶の勾玉（１５００円）」を購入です。

　　

境内には、源頼朝の代参として参詣した、畠山重忠手植えの「秩父杉」があります。
「いいくに（１１９２）作ろう鎌倉幕府」・・・つまり樹齢約８００年ということになります。



高千穂神社にお参りした後、町をぶらぶらしていると、
「cafe TAKACHIHO-BASE」という店の、「高千穂原木椎茸御膳」というメニューが目に留まり、
（高千穂の椎茸は、絶対うまいな・・）
と思い、入ってみました。
原木椎茸御膳・・・今まで１回も聞いたことがないメニューですが、
でっかい椎茸のフライをかじると、期待通りの歯ごたえとうまさです。
宮崎は「チキン南蛮」が名物ですが、その鶏肉を椎茸に置き換えた料理で、タルタルソースもバッチリ合います。
「椎茸南蛮」と言い換えてもいいですが、これだけ立派な椎茸だと、十分メインディッシュになります。
元々椎茸は好物なので（串焼き屋でもよく注文する）、いい料理に出会えました。

　

食事中、雨が降って来たので、高千穂峡へ行くのはやめて、延岡に撤退です。明日また来ることにしました。


１１月２６日（水）

延岡	高千穂	恵美須町
10:00発	11:20着 15:50発	17:08着

高千穂峡へ行く前に、気になるそば屋を見つけたので、ちょっと寄ってみました。
「天庵」という店で、店構えからして伝統的そば屋の風格というか、「ここ絶対うまいオーラ」を感じますが、
やはりうまい店というのは、これまで食事に来た人たちの「うまかった〜」という思いが積み重なって、
そういうオーラをまとっているものです。
「旬菜の天ぷら」「そば豆腐の揚げ出し」「いなり寿司」がついた、「高天コース」を注文。
そば屋ということで「そば焼酎」も注文したけど、これから高千穂峡を歩くことを考えると、お酒は余計だったかもしれないです。
（後でちょっと気持ち悪くなった）
地元の高冷地野菜の天麩羅や、揚げ出し、あんかけなどの小鉢がうますぎて、そばが普通に思えましたが、
総合的に素晴らしいコース料理で、店を出ると、
（もう気分いいし、帰ろうか）
という気持ちでしたが、今日は高千穂峡を見るためにわざわざ延岡から来たので、天気もいいし、行ってみました。

　　

しばらくアスファルトの坂道を下って行くと、高千穂峡に到着です。
きれいな庭園の中にある「おのころ池」には、なぜかチョウザメ（キャビアを産む魚）が飼われていて、
水際に立つと、挨拶するかのように近づいてきます。「サメ」という名はついていても、かわいい魚です。

　

川沿いの遊歩道を往復して、高千穂峡を見て周りましたが、
何かを見るというよりは、自然の中に身を置くことが、気持ちのいい場所です。
ガイドのおっちゃんの話によると、
「去年の今頃は、前に進めないくらい観光客があふれていたけど、今年はかなり減って、歩きやすくなった」
ということで、今が狙い目かもしれないです。

　

延岡も三日目にもなると、土地勘がついてきて、帰りのバスは宿から最寄りのバス停（恵美須町）で降りましたが、
遠出から帰ってきてすぐに大浴場につかれるのがありがたいです。建物は古いけど、いい宿です。

「宮崎の地酒」というのぼりにひかれ、近くの「たきぐち」という居酒屋に入ってみました。
本場の「チキン南蛮」はうまかったです。（宮崎でチキン南蛮を食べている時点で気分がいい）
お酒は、宮崎の地酒「千徳」と、「天孫降臨」という焼酎をロックで注文。
高千穂帰りにピッタリの名前のお酒で、いい感じにほろ酔いです。
橋の向こうの繁華街をぶらぶらしつつ、宿に戻りました。

　


１１月２７日（木）

延岡	佐伯	臼杵	八幡浜	宇和島
6:10発	7:19着 7:49発	8:20着 12:40発	15:00着 16:55発	17:45着

延岡から大分方面へ向かう普通列車は、早朝と夜の２本だけなので、早起きして６時１０分の列車に乗りました。
外はまだ真っ暗で、星空がきれいでした。（木星が見えた）

臼杵（うすき）

帰りは臼杵港からフェリーで四国へ渡ろうと思い、臼杵へ向かいましたが、
臼杵と言えば、大友宗麟の居城「臼杵城」があるので、行ってみました。駅から歩いて１０分ほどです。
かつて本丸があった場所は、公園になっていて、お年寄りがゲートボールを楽しんでましたが、
さすがの大友宗麟も、こういう未来の姿は予測できなかったでしょう。
公園のベンチからは、臼杵の町と海が見渡せて、いい眺めです。

　　

臼杵城から３０分ほど歩いて、宇和島運輸のフェリーターミナルに到着。
ここから愛媛の八幡浜港へ行く船が出ていて、乗船時間は２時間２０分、３５００円です。
港で海鮮丼でも食べられるかと期待したけど、ターミナル内の食堂にはカレーやうどんしかなかったので、
とりあえず我慢して船に乗り込むと、船内で弁当（７００円）を売っていたので、買ってみました。
売店のおっちゃんが、「お弁当、残りわずかで〜す」と、客引きしてたけど、
乗客もわずかなので、あまり効果がなく、売れ残ってました。

　　

甲板に出ると、青い空と海が気持ちいいですが、風が強いので長くはいられないです。
船内にはカーペットの客室があり、横になってウトウトしているうちに、八幡浜港に到着です。

　　

港から駅までバスが出ていますが、歩いても３０分ほどなので、
町の様子を見ながら商店街をてくてく歩き、八幡浜駅に到着。宇和島へ移動です。

宇和島

宇和島の宿は『ホテルＣＯＲＡＬ（コーラル）宇和島』。大浴場付６０００円。
１階にコンビニがオープンしたということで、「コンビニオープン記念プラン」というので、少し安く泊まれました。
ありがたいけど、コンビニ開店で「悲願達成」みたいなノリも、なんかちょっと大げさというか・・・
（町に鉄道ができた時の喜び方だな、それは）
ホテルの玄関から入ると、左右がコンビニの売り場で、コンビニの中にホテルの受付がある感じになっています。
部屋には珍しく電子レンジが置いてあって、１階でコンビニがオープンして、部屋に電子レンジって、
「コンビニ弁当買って部屋で温めてね」
と言われているようなもので、
「部屋代安くしてるんだし、言わなくてもわかるよね？」
みたいなプレッシャーを感じつつ（全部自分の思い込みですが）、
「しょうがないなあ」と、もう一回エレベーターで降りて弁当買ってきましたが、
まあ外出しなくてもホテル内で完結するのは、楽と言えば楽です。
考えてみれば、昼も夜も弁当で、旅行中の食事としては珍しいですが、
流れ的に、昼も夜も弁当にいくしかない流れだったので、なんか弁当の神様から、からかわれているような気分です。
７階の展望大浴場からは、昼間は海が見えるようですが、夜は住宅街の明かりが見えて、それはそれでいい眺めです。

　　


１１月２８日（金）

宇和島	若井	中村
9:34発	12:05着 12:17発	13:12着

宇和島から中村へ移動するには、ＪＲの江川崎駅でバスに乗り換えるのが、最短距離で安上がりですが、
予土線（よどせん）の絶景ポイントは江川崎駅を過ぎてからなので、ここはあえて鉄道で遠回りして行くことにしました。
（いつ廃線になるかわからないから、なるべく乗っておきたいというのもあります）
山の間を川が流れているという、ただそれだけの景色なのに、なぜか心が洗われる気分です。
「日本最後の清流」と言われる四万十川ですが、こういう手つかずの自然を見ていると、
人間が「自然にできた」と表現するものほど、逆に庭造りの名人が作ったような、何らかの意思の介入を感じます。

　

若井駅で土佐くろしお鉄道に乗り継ぎです。
行きは「四万十・宇和海フリーきっぷ」があったので、特急に乗ったけど、普通列車の方が海の景色は楽しめます。
客が全然乗ってこなくて、ちょっと経営が心配にはなりますが、
自分一人を乗せて列車を走らせてくれている時は、いつも「ありがたいなあ」と思います。

　　

中村

居心地のいい「ホテルココモ」に三泊して、水と空気がきれいな四万十市で、しばらくのんびり過ごすことにしました。
（ジュースとお菓子の無料サービスとか、ありそうでないです）

　


１１月２９日（土）

「花ぜん」という料理店の「清水さばの棒寿司」がうまいという話を聞いて、行ってみました。
しめさばをイメージしてたら、分厚いさばの刺身がのっていて、「さすが清水さば」という感じで食べごたえ十分でした。

町から山の上を見上げると、城のような建物が見えるので行ってみると、
中村城かと思った建物は博物館で、リアル過ぎて本物の城に見えます。
（かつて中村城があった跡地ではあります）

　


１１月３０日（日）

宿の近くを流れる川は、「後川（うしろがわ）」という四万十川の支流で、
この川沿いを歩くのが気持ち良くて、朝は澄んだ空気、夜は満天の星空です。
こういう何もない広々とした空間や手つかずの自然を見ていると、身体が喜ぶ感じがします。
時々魚が跳ねるポチャンという音が、けっこう頻繁に聞こえます。

　

中村の繁華街は駅から離れているので、宿周辺は飲食店の選択肢が少ないですが、
そのうちの一つ、「しなとら」というラーメン屋へ行ってみました。
「ラーメンと半炒飯のセット」と餃子を注文。餃子を持ってきた店の姉ちゃんが、
「餃子２個焦がしちゃったんで、あと５分ほど待ってもらえますか」
と言うので、先にラーメンと炒飯を食べていると、
「これ１個サービスです」
と、３個持って来てくれて、自分としては普通にラーメンを食べていたら餃子が１個増えたような感覚で、
何もしていないのに得した気分でしたが、
旅先で一度しか行かないような店で起こる、こういう些細な出来事も、思い出に残っていいものです。
（思い出と言いながら、餃子の写真撮るの忘れましたが・・）

　


１２月１日（月）

中村	窪川	高知
10:05発	11:15着 12:33発	14:41着

高知

高知の宿は『サウスブリーズホテル高知海月』。大浴場、朝食付で５６７０円。
駅から離れていて観光客も少ないので、落ち着いた町の雰囲気が逆にいいです。
ホテル前の堀には、まるで駐車場のように、漁船が停泊しています。

　

前回「とさ市場」という店に行った時に、すぐ近くにもう一軒気になる店があって、今回行ってみました。
「土佐ノ國二十四万石」という店で、同じ壱番街商店街にあります。「鰹たたきと四万十清流御膳」を注文。
「川えびの唐揚げ」や「青さ海苔の天ぷら」といった、四万十の郷土料理がセットになっています。
川えびは中村でも何度か注文して、「夏のものだからもうない」と断られていたのですが、
まさか高知まで来て「四万十川えび」を食べられるとは思わなかったので、喜びも倍増です。
鰹の塩たたきはもちろんうまいし、おばちゃんが郷土料理の説明をしてくれて、いい時間でした。

　　


１２月２日（火）

ホテルの朝食バイキングは、楽天トラベルで四国１位になったということですが、
郷土料理に加えて、生卵が絶品で、「卵かけご飯」をおかわりしたいと思ったのは初めてかもしれないです。
おかげで「うつぼ茶漬け」とか珍しいメニューが、満腹で食べられなくなりましたが、また次回の楽しみにとっておきます。

　　

駅へ向かう途中、高知城に立ち寄りましたが、ベンチに座って石垣を眺めていると、
（山内一豊も、築城に関しては、なかなかのものだなあ）
と思えてきます。
（そう言えば「信長の野望」というゲームの中でも、「建築」のスキルに〇がついていた）

　　

行きと同じく、「スマえきトク割きっぷ」で特急を乗り継いで、徳島へ移動です。

高知	阿波池田	徳島
13:13発	14:22着 14:30発	15:51着

徳島

宿はいつもの「ホテルネクセル」で、ブラックフライデー割引で３４００円。
さっそく泡風呂に入った後、宿のすぐ近くにある、お気に入りの居酒屋「活魚水産」で夕食です。
「海鮮サラダ」を見て、「でかっ」と思いましたが、４人分くらいの量です。（写真ではサイズがわからん）
「阿波尾鶏（あわおどり）の溶岩焼き」や「炙りサバの棒寿司」を注文して、相変わらずの満足度の高さでした。
（「阿波尾鶏」は徳島の地鶏です）

　　


１２月３日（水）

徳島	洲本	岩屋港	明石	三ノ宮
9:00発	10:29着 13:35発	15:07着 16:00発	16:13着 17:14発	17:38着

徳島から淡路島経由で帰ることにました。帰りも「好きっぷ」でもよかったけど、
淡路島と明石港を結ぶ「淡路ジェノバライン」という船が気になっていたので、今回乗ってみることにしました。
まずは徳島駅前から淡路交通のバスで洲本へ移動です。

洲本

洲本バスセンターの観光案内所で、淡路島の北にある岩屋港への行き方を聞くと、
どこまで乗っても５００円の「あわ神・あわ姫バス」というので行けるようです。
出発まで時間があったので、イオンの中をのぞいたりした後、
商店街にある「しあわせ島ごはん・まどみ」というレストランに入ってみました。
しあわせ島ごはん・・・店名を見ただけで入りたくなる、いい名前をつけたものです。
定食の名前もユニークで、刺身と「地魚の竜田揚げ」がセットになった「おおよろこび定食」を注文。
どちらもうなってしまううまさで、特に竜田揚げのほくほくの身が絶品で、さすがは港町の海鮮食堂という感じです。

　　

懐かしい感じがする洲本の町をぶらぶらしていると、
少し開いた店の扉から、石油ストーブの匂いと温もりが漂ってきたりして、
（うわっ、なつかし、この感じ）
と思ってしまいますが、いつの間にか石油ストーブも、「うわっ」と驚くほど珍しいものになりました。

　　

洲本バスセンターから「あわ神・あわ姫バス」に乗り、岩屋港へ向かいました。
派手に絵が描かれているので、乗り間違えることもなさそうです。
５００円先払いで乗り込むと、あとはどこでも好きな場所で降りることができます。
１時間半ほどで、終点の岩屋ポートターミナルに到着。
平日のみ運行ということですが、この距離で５００円はありがたいです。

　　

岩屋

券売機で乗船券を購入し、明石行きの船に乗り込みました。
小型高速船で、波の上をジャンプするたびにフワッと無重力になり、たった１３分とはいえ、けっこう消耗します。
帰りの便には、学校帰りの高校生がぞろぞろと乗り込んできましたが、
同じ兵庫県内とはいえ、毎日この船で通学は、なかなか大変だなあと思います。

　

明石

明石港から明石駅まで歩いて１０分ほどですが、途中の商店街には、明石だこを扱う店が並んでいます。
ここまでたこを全面に押し出されると、嫌でもたこ焼きを食べたくなってくるので、
「たこ左衛門」というたこ焼き屋に入ってみました。
たこ焼きっていうか、明石と言えば「明石焼き」ですが、たこ焼きと違って、出汁につけて食べます。
輸入だこが１０個６６０円で、明石だこは１０個９９０円と値が張りますが、ここは迷わず「明石だこ」です。
（せっかく明石に来ているのに、こんなの迷うところじゃない）
タッチパネルで、「明石の大だこ明石焼き」と生ビールを注文。
生ビールはハートランド。知る人ぞ知る日本のハイクオリティビールで、店主のこだわりを感じます
でっかい明石だこが入った本場の明石焼きと、ハートランド生ビールの組み合わせは、幸せな時間でした。

　　

明石からＪＲで三ノ宮へ移動し、神戸三宮駅から阪急で帰宅です。
夜の神戸三宮駅周辺は賑やかでした。

今回は、「四国経由で九州往復」という、ルート的にはシンプルなものでしたが、
いろんな乗り物やチケットを駆使して、内容的にはやりがいのある、充実した旅でした。
１回の旅行で船４回というのも珍しいし、特急にもいっぱい乗れたし、
「青春１８きっぷを使わない旅」というのも、意外と面白かったです。


２０２５年秋、四国〜九州の旅でした。




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